The Kasuga Scorpionとは?珍しい国産名機の魅力

ギターを長く修理していると、普段はなかなか出会うことのないモデルと遭遇することが多々あります。

今回お預かりしたのは、The Kasuga Scorpionシリーズが、なんと3本。

しかも、SC600・SC800・SC1500という異なるグレードが、同じオーナーから依頼されるという珍しい機会でした。

それぞれのギターの修理内容については別の記事で詳しくご紹介しますが、せっかく3本を同時に見ることができたので、今回は「春日楽器」と「The Kasuga Scorpion」というシリーズそのものについて、まとめてみたいと思います。

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春日楽器とは

春日楽器(Kasuga)は、1960年代から1980年代にかけて数多くのギターを製造した日本のメーカーです。

現在では名前を聞く機会は少なくなりましたが、当時はオリジナルモデルの開発だけではなく、海外輸出向けの製造、ESPやYAMAHAなどの国内大手メーカーのOEM生産も多く手掛けたとされ、日本製ギターの品質向上を支えたメーカーの一つとして知られています。

現在のジャパンビンテージ市場では、GrecoやTokai、Yamaha、Fernandesなどと比べると知名度は高くありません。

しかし、当時のカタログや資料を見ると、春日楽器も独自ブランドの開発に力を入れ、高品質なギターを数多く送り出していたことが分かります。

Scorpionシリーズは、その中でも特に個性的なモデルとして展開されていました。


The Kasuga Scorpionシリーズ

Scorpionシリーズは1980年前後にラインナップされていたオリジナルモデルです。

一般的なストラトキャスターやレスポールとは異なる独創的なデザインを採用し、センターストライプを強調したボディデザインや、トップやバックに派手な木目の甲板を貼り付けたスルーネック構造など、当時としても意欲的な仕様が盛り込まれていました。

ラインナップには、

  • SC600
  • SC800
  • SC900
  • SC1200
  • SC1500

などが用意され、価格帯に応じて仕様が異なっていました。またダブルネックなども作られておりました。

最上位機種であるSC1500は、当時15万円という高価格帯に位置付けられたフラッグシップモデルで、春日楽器の技術力を示す一本だったことがうかがえます。

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当時としては非常に個性的なデザイン

Scorpionシリーズを初めて見ると、その独特なデザインに目を引かれます。

センターを貫くストライプ、滑らかなボディシェイプ、ヘッドデザインなど、一般的な国産ギターとは異なる個性を持っています。

当時の海外ハイエンドブランドであるAlembicやBC Richなどを思わせる雰囲気もあり、そうしたデザインや思想から影響を受けていた可能性は考えられますね。

いずれにしても、既存モデルをそのまま踏襲するのではなく、自社ならではの個性を打ち出そうとしていたことは、このシリーズ全体から感じられます。


なぜあまり知られていないのか

Scorpionシリーズは、現在でも知る人ぞ知る存在です。

その理由の一つとして、春日楽器が海外輸出やOEM生産を多く手掛けていたことが挙げられます。

自社ブランドよりも製造メーカーとしての印象が強かったため、現在でもジャパンビンテージに詳しい人以外には、あまり知られていないブランドとなっています。

そのため、中古市場でも他の有名ブランドほど流通量は多くなく、実際に見かける機会は決して多くありません。


価格帯ごとに用意されたScorpion

Scorpionシリーズはエントリーモデルから最上位モデルまで展開されていました。

当時6万円クラスだったSC600から、15万円のSC1500までラインナップされており、幅広いユーザーを想定したシリーズだったことが分かります。

とはいえ、当時の物価や市場を鑑みると、6万円はエントリーモデルでもかなり高額です。

価格帯によって使用される木材や装飾、ハードウェアなどには違いがありますが、「Scorpion」というシリーズとして統一されたデザインコンセプトが採用されていました。

こうしたシリーズ展開からも、春日楽器がScorpionを単なる一機種ではなく、自社を代表するシリーズとして位置付けていたことがうかがえます。


今あらためて注目したい国産ギター

現在では、ジャパンビンテージという言葉も広く知られるようになりました。

一方で、有名ブランドに注目が集まる一方、優れたギターでありながらあまり語られる機会の少ないモデルも数多く存在します。

The Kasuga Scorpionも、その一つではないでしょうか。

資料を見るだけでは分からない部分も多く残されていますが、当時のカタログや現存する個体を見ると、春日楽器が独自のブランドとして力を入れていたことが伝わってきます。

これから修理記事では、それぞれのSC600・SC800・SC1500について詳しくご紹介していきます。

仕様や作りの違い、修理を通して感じたことなどは、各記事であらためてまとめたいと思います。


LuthiLab Memo

  • ブランド:The Kasuga(春日楽器)
  • モデル・年代:Scorpionシリーズ / 1980年前後
  • 今回の記事:ブランド・シリーズ紹介
  • 主な内容:春日楽器の歴史、Scorpionシリーズの特徴、ラインナップ、デザイン、現在の位置付け
  • 今回のポイント:修理内容ではなく、The Kasuga Scorpionというシリーズそのものに焦点を当てた紹介記事です。各モデルの修理内容や作業を通して感じたことは、個別の記事で詳しくご紹介します。

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