国産ヴィンテージギターには、多くの人が知る名機だけではなく、知る人ぞ知る素晴らしいモデルが数多く存在します。
今回ご紹介するのは、その代表格とも言えるRiverhead Wizard P-1。
中古市場でも流通量が少なく、実際に触れる機会は決して多くありません。
一見するとシンプルなシングルカッタウェイのギターですが、その作り込みは驚くほど丁寧で、細部にまで強いこだわりを感じる一本でした。

Riverheadというブランド
Riverheadは1980年代に展開されていた、名工 百瀬恭夫氏が関わっていたとされる国産ギターブランドです。
Headwayや後のディバイザーへとつながる国産ギター製作の流れの中で生まれたブランドとして知られています。
当時の国産ギターは海外ブランドのコピーだけではなく、オリジナルモデルにも力を入れ始めた時代でした。
Wizardシリーズもその一つで、オリジナルデザインと高い工作精度を兼ね備えた意欲作として登場しました。
製造はHeadwayによるものと考えられており、現在のディバイザー製品にも通じる丁寧な木工技術を感じさせます。
見えない部分まで作り込まれた一本
このギターを触ってまず驚くのは、その完成度の高さです。
ネックジョイント、木工精度、塗装、そして各部のパーツ。
どれを見ても非常に丁寧に仕上げられています。
ブリッジやテールピースも重量感のあるしっかりしたパーツが採用され、サステインにも大きく貢献しています。
重量は決して軽いギターではありません。
しかし、その質量が生み出す太く芯のあるサウンドは、このモデルならではの魅力と言えるでしょう。
現在ではあまり知られていない存在ですが、実際に手にすると、当時の最高峰のギターと言っても過言ではないと思いました。
ピックアップの高さが調整できない
今回のご依頼は、
「ピックアップの高さ調整ができない」
という内容でした。
確認すると、原因は高さ調整用ビスに使用されていたゴムでした。
長年の使用によってゴムが劣化し、弾力を失っていたため、ピックアップが正常に上下しない状態になっていました。
古いギターでは比較的よく見られるトラブルですが、そのままでは適切なピックアップ高さに調整できず、本来のサウンドを引き出すことができません。
劣化しにくいスプリングへ交換
今回は劣化したゴムを取り外し、スプリングへ変更しました。
スプリングを使用することで、今後経年劣化による同じ症状が起こりにくくなり、安定した高さ調整が可能になります。
これはヴィンテージスタイルのFenderのストラトキャスターでも見られるトラブルの一つですが、スプリングに交換する事で、長く安心して演奏することができます。
また、確認したところピックアップにはRiverheadの文字が。
社外品を買うのではなく、オリジナルピックアップを搭載していることで、細部までこだわり抜いていたことがわかります。

全体セットアップも実施
修理後はネック調整、弦高、オクターブ調整など全体のセットアップも実施しました。
各部を見直すことで、本来の演奏性を十分に発揮できる状態へ仕上げています。
驚くほど完成度の高いサウンド
調整後に演奏して最も印象的だったのは、そのサウンドです。
重量感のあるボディから生まれる芯の太い中低域。
そこへオリジナルピックアップ独特の立ち上がりの良さと抜けの良さが加わり、非常に存在感のある音を鳴らしてくれます。
派手さよりも質の高さを感じるサウンドで、コードを鳴らした時のまとまり、一音一音の太さは非常に魅力的でした。
市場で見かける機会は少ないものの、実際に弾けば多くのプレイヤーがその完成度に驚くのではないでしょうか。
国産ヴィンテージの隠れた名機
有名ブランドの陰に隠れていますが、日本にはこのような素晴らしいギターが数多く存在します。
Riverhead Wizard P-1も間違いなくその一本でした。
派手な知名度はありません。
しかし、木工技術、パーツ選定、演奏性、そしてサウンド、どれを取っても高い完成度を持ち、「良いギターとは何か」を改めて考えさせてくれる一本です。
こうした国産ヴィンテージが、これからも長く演奏され続けてほしいと思えるリペアとなりました。
LuthiLab Memo
- ブランド:Riverhead
- モデル / 年代:Wizard P-1(1980年代前半)
- 修理依頼内容:ピックアップの高さ調整不良、全体調整
- 主な作業内容:劣化した高さ調整用ゴムをスプリングへ交換、ネック調整、弦高調整、オクターブ調整
- 今回のポイント:経年劣化したゴムをスプリングへ変更することで耐久性を向上。希少な国産ハイエンドモデルの演奏性を損なうことなく、本来のサウンドと操作性を取り戻しました。


