今回お預かりした1979年製 Gibson ES-335も、長年の使用や過去の改造によって、フロントピックアップがミニハムに改造されているなど、通常とは少し異なる仕様になっていました。

オーナー様からのご依頼は二つ、ひとつはリフレット(別記事参照)、もうひとつは「フロントピックアップの高さを調整できるようにしてほしい」です。

フレット交換作業と並行してギターを分解しながら全体の状態を確認したところ、フロントピックアップの問題だけではなく、電装系にも経年劣化が見られたため、オーナー様へご相談の上、あわせて修理を行うことになりました。


フロントピックアップの高さ調整ができない状態

フロントピックアップを取り外して確認すると、ヴィンテージの Gibson L-7 などに採用されていた、指板エンドに固定するタイプのGibsonのミニハムバッカーピックアップが取り付けられていました。

しかし、通常のハムバッカーピックアップのような、高さを上下させるためのビスを受けるベースプレートがありません。そのピックアップをミニハムバッカー用のエスカッションへ接着剤で固定していたため、高さを調整することができませんでした。

ピックアップの高さは音量や音色のバランスを決める重要な要素です。

オーナー様も以前から調整できないことを気にされており、今回改善をご希望されていました。

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ストラト用ボビンを加工し、高さ調整機構を製作

既製品では対応できるパーツがなかったため、今回はストラトキャスター用ボビンを加工し、高さ調整機構として流用する方法を採用しました。

寸法を確認しながら加工を進め、できるだけ見た目を変えず、通常のハムバッカーと同じように高さ調整が行える仕様へ改善しました。

これにより、1弦側と6弦側のバランスが取れるだけではなく、リアピックアップとのバランスも細かく調整できるようになりました。

ギターの修理では、ポテンシャルを最大限発揮させることを考えることも、重要な要素のひとつだと考えています。


分解したことで見つかった電装系の劣化

パーツを分解して確認していると、コントロールパーツにも年式相応の劣化が見つかりました。ポットにはガリが発生し、接触不良も確認でている状態でした。

このままクリーニングだけで組み戻すことも可能でしたが、この際、今後も安心して演奏できる状態にしておいた方が良いと判断しました。

オーナー様にもご納得いただき、コントロールの交換もあわせて行うことになりました。


電装パーツ総交換

今回はCTS製ポットを中心に、スイッチやジャック、配線材を含めたコントロール回路をすべて新しく組み直しました。

ヴィンテージギターではオリジナルパーツにも価値があります。

そのため、取り外したオリジナルパーツはすべてオーナー様へ返却しています。

演奏性を向上させつつも、将来的にまたオリジナル仕様へ戻すこともできるよう配慮した修理です。


演奏するためのヴィンテージギターへ

ヴィンテージギターは、コレクションとして保管するだけではなく、実際に弾いてこそ魅力を感じられる楽器だと思っています。

今回はオーナー様からご依頼いただいたピックアップの高さ調整に加え、分解したことで判明した電装系の劣化も改善することで、これからも安心して演奏できる状態へ仕上げることができました。

修理では、ご依頼いただいた内容だけでなく、作業中に気付いた点についてもできるだけご説明し、オーナー様と相談しながら最適な方法をご提案するよう心掛けています。


LuthiLab Memo

  • ブランド:Gibson
  • モデル / 年代:ES-335 / 1979年製
  • 修理依頼内容:フロントピックアップ高さ調整、電装系リフレッシュ
  • 主な作業内容:ストラト用ボビン加工による高さ調整機構製作、CTS製ポット・スイッチ・ジャック交換、配線組み直し
  • 今回のポイント:オーナー様のご要望だった高さ調整機構を実現し、分解時に見つかった電装系の劣化も改善。オリジナルパーツは返却しています。