昔の写真を整理していると、懐かしい一本が出てきました。

2015年頃に作業した、1983年製のFender USA Jazz Bassです。

今回の作業は、欠けてしまったナットの交換。

ナット交換、調整こそ大掛かりな修理ではありませんが、演奏性を支える大切なメンテナンスです。


「Fender Jazz Bass」の最後の年?

このベースを見た時、ふと思ったことがあります。

1983年は、1960年から続いたカタログ上の「Fender Jazz Bass」表記の最後の年と言われております。

Jazz Bassというモデルは現在も作り続けられているモデルではありますが、この翌年以降はAmerican Standardをはじめ、シリーズ名が付いたモデルへ移り変わっていきます。

そう考えると、この1983年製は一つの時代の区切りを感じさせる一本でもありますね。


欠けてしまったナット

確認すると、しっかりと1弦側が欠けています。

ナットは小さな部品ですが、解放弦の音に影響するだけではなく、低いとビビリが発生します。

また高いと演奏性が悪くなる、かつ音程を不安定にさせたりすることもあるなど、とても重要な役割があります。

もちろん欠けたままでは演奏することができない為、新しいナットを製作し、交換することになりました。


一つずつ高さを合わせながら製作

ナット交換は、私の作業では既製品を取り付けることはまずありません。

溝の位置や間隔、高さを少しずつ調整しながら、その個体に合わせてひとつずつ仕上げていきます。

見た目の変化は小さくても、この工程が演奏性を左右します。


小さな部品だからこそ大切

ネック折れ修理やリフレットのように目立つ作業ではありません。

しかし、ナットはすべての弦が触れる重要なパーツです。

長く使われてきた楽器では、このような消耗部品を適切なタイミングで交換することも、大切なメンテナンスの一つだと考えています。

40年以上経った今も、このJazz Bassがどこかで現役で弾かれていたら嬉しいですね。


LuthiLab Memo

  • ブランド:Fender USA
  • モデル / 年代:Jazz Bass / 1983年製
  • 修理依頼内容:割れたナットの交換
  • 主な作業内容:ナット製作・交換・調整
  • 今回のポイント:1983年製のJazz Bassに合わせて新しいナットを製作。溝の位置や高さを調整しながら交換し、演奏性を回復しました。

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