ギターは同じモデルでも、「ネックの握り心地」が少し違うだけで演奏のしやすさが大きく変わります。
今回お預かりしたのは、Gibson Les Paul Studio Swamp Ash。
スワンプアッシュボディを採用した少し珍しいレスポールスタジオです。
ご依頼内容は
「ネックを削って、自分の手に合わせてほしい」
という、ネックリシェイプのご依頼でした。
アッシュボディを採用した珍しいレスポール
レスポールといえばマホガニーボディにメイプルトップという組み合わせが定番です。
しかし、このLes Paul Studio Ashは、その名の通りアッシュ材をボディに採用した珍しいモデルです。
アッシュならではの木目が美しく、ナチュラルフィニッシュとの相性も抜群。
レスポールらしい太いサウンドを持ちながら、明るく抜けの良いキャラクターも感じられる一本です。
ネックが自分の手に合わない
オーナー様がお持ちだったもう一本のギターは、長年弾き慣れたUSA製のオベーション。
そのネックは薄めのVシェイプで、その方の手にとてと馴染んでおりました。
一方、このレスポールは、まさにレスポールといったレスポル丸みのある厚めのUシェイプネック。
決して弾きにくいネックではありませんが、オーナー様にとっては少し握りが大きく感じられていたということで、
オベーションと同じような握り心地にしてほしい。
というご相談をいただきました。
一度削れば元には戻せない作業
ネックリシェイプは、慎重さが求められる作業です。
木材は、一度削れば元には戻せません。
削りすぎれば強度や握り心地に影響し、削らなすぎれば違いが感じられません。
今回はご愛用のオベーションを実際に採寸、確認しながら、
・厚みを少し落とす
・丸いシェイプから緩やかなVシェイプへ
という二つを目標に、少しずつ削り進めました。
何度も採寸と握り心地を確認しながら、ゆっくりと仕上げています。


手触りにもこだわったオイルフィニッシュ
ネックシェイプを変更した後は、仕上げも重要です。
今回はオーナー様のご希望により、オイルフィニッシュで仕上げました。
また、ヘッド裏も同時に研磨し、ネック全体が自然につながるよう調整しています。
オイル仕上げは木の質感を直接感じられ、手の滑りも非常に良くなります。
弾き込むほどに風合いが増していく点も魅力です。

ネックは楽器とプレイヤーをつなぐ部分
ギターは音だけではありません。
演奏者が最も長く触れているのはネックです。
だからこそ、「自分の手に合うネック」というのは、演奏性を大きく左右します。
今回は見た目を変えるカスタムではなく、
プレイヤーの身体に合わせるためのカスタム。
完成後、オーナー様からは
「まさに理想の握り心地になった」
と大変喜んでいただけました。
リペアというより、オーダーメイドに近い作業だったように思います。
LuthiLab Memo
- ブランド:Gibson
- モデル / 年代:Les Paul Studio Swamp Ash
- 修理依頼内容:ネックリシェイプ
- 主な作業内容:ネック厚調整、Vシェイプ加工、ヘッド裏研磨、オイルフィニッシュ仕上げ
- 今回のポイント:愛用されているオベーションのネック形状を基準に、レスポールの丸みのあるネックを薄めのVシェイプへ加工。握り心地を何度も確認しながら少しずつ作業しました。オイルフィニッシュにより、木の質感を活かした自然な手触りに仕上げています。

