「最近なんだか弾きにくい。」
「音は出るけど、以前より弾きづらくなった気がする。」
そんな症状でも、必ずしも修理が必要とは限りません。
ギターは木でできているため、季節や湿度の変化によって少しずつ状態が変わります。
その変化に合わせて各部を調整してあげることで、驚くほど弾きやすくなることがあります。
今回は、私が普段行っている「全体調整(セットアップ)」についてご紹介します。
全体調整(セットアップ)とは?
全体調整とは、ギター全体のバランスを整え、本来の演奏性を取り戻す作業です。
「ネックだけ調整する」「弦高だけ下げる」といった一部分だけの作業ではありません。
ギターは各部が影響し合っているため、一つだけ調整しても理想的な状態にはなりません。
全体のバランスを見ながら、一つひとつ確認していくことが大切です。
私が必ず確認する項目
全体調整をご依頼いただいた際は、まずギター全体の状態を確認します。
主に確認するのは、
- ネックの状態
- 弦高
- オクターブ
- ピックアップの高さ
- ナットの状態
- 電装系の動作
これらは毎回確認しています。
さらに、指板の状態に合わせてクリーニングを行い、必要に応じてフレット磨きも行います。
ローズウッドやエボニーなどの木肌が露出している指板には、状態を見ながらオイルを塗布し、コンディションを整えています。
一番大切なのは「お客様に合わせること」
同じギターでも、「正解のセッティング」は一つではありません。
強くピッキングする方もいれば、繊細なタッチで演奏する方もいます。
コード演奏が中心の方と、速いソロを多く弾く方でも、弾きやすいと感じるセッティングは変わります。
だから私は、数値だけを基準に調整するのではなく、お客様の演奏スタイルに合わせることを大切にしています。
そのうえで、ギター全体のバランスが崩れないように仕上げることを意識しています。
調整だけで弾きやすさは大きく変わります
全体調整を終えたあと、お客様から一番よくいただく言葉があります。
「弾きやすくなった。」
この一言です。
ネックや弦高、オクターブなどが適切に整うことで、演奏時のストレスが大きく減ります。
結果として、音が安定するだけでなく、演奏そのものが楽になります。
「以前より弾けるようになった気がする。」
そんな感想をいただくことも少なくありません。
ギターは弾きやすくなることで、自然と練習する時間も増えます。
その積み重ねが上達につながるのではないかと感じています。
修理ではなく、メンテナンスという考え方
全体調整は、壊れたギターを直す修理とは少し違います。
どちらかというと、人が健康診断を受けるような定期的なメンテナンスに近いものです。
しばらく調整していないギターや、中古で購入したギターは、一度状態を確認するだけでも大きく印象が変わることがあります。
「壊れていないから大丈夫」と思っていても、調整によって本来の性能を取り戻せるケースは少なくありません。
長く弾くためにも定期的な調整を
ギターは一度調整すれば終わりではありません。
季節や湿度、弦の種類、演奏スタイルなどによって、少しずつ状態は変化していきます。
だからこそ、定期的に全体を見直してあげることで、いつでも気持ちよく演奏できる状態を保つことができます。
「最近弾きづらくなった。」
そう感じたら、大きな修理を考える前に、一度全体調整を検討してみるのもおすすめです。
