ジャパンヴィンテージのGrecoというと、レスポールやストラトキャスターのコピーモデルを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし1990年代のGrecoには、オリジナルデザインながら非常に完成度の高いモデルが数多く存在します。

今回は、その中でもあまり知られていない Greco TRS-120

演奏性を大きく向上させるリフレットを行いました。


Greco TRS-120とは?

Grecoは1960年代に神田商会が立ち上げた日本を代表するギターブランドです。

1970〜80年代には高品質なコピーモデルで世界的な評価を受けましたが、1990年代にはオリジナルモデルの開発にも力を入れていました。

TRシリーズもその一つで、1990年のGrecoカタログにはTRS-120がラインナップされています。

一般的なテレキャスターとは異なる、ひとまわり小ぶりな独自のボディシェイプに、キルトメイプルトップや独特なインレイなど、当時のGrecoが「本気で作ったオリジナルモデル」と感じられる一本です。

市場で見かける機会も少なく、現在では知る人ぞ知る隠れた名機と言えるでしょう。


長年弾かれてきたネックコンディション

今回のTRS-120は長年大切に演奏されてきた個体のようでした。

ネックにはやや波打ちが見られ、オリジナルフレットはもともと幅も狭く高さも低いものが装着されていました。

今後、長く演奏ができるよう、幅は変えずに高さのある新しいフレットへ交換することになりました。


高さのあるフレットへ交換

古いフレットを慎重に取り外し、指板の状態を整えながら新しいフレットを打ち込んでいきます。

リフレット後はすり合わせ、フレット成形、研磨を行い、一本一本の高さを丁寧に揃えました。

波打ちが目立つネックは、指板修正でフラットにしても、弦を張ることでまた波打つことがあります。やはりネックにもクセがついており、指板修正で取り切った指板上の歪みが弦を張ったことで起こりました。

それを見越して、すり合わせの前に弦を張る事で歪みを出し、今回はその状態でのフレットすり合わせを行いました。

このネックの波打ちも考慮しながらのすり合わせが、新品のフレットを極力減らさずに済む方法の一つです。


演奏性は大きく向上

高さのあるフレットへ交換したことで、チョーキングやビブラートもスムーズになり、演奏性が格段に向上しました。

TRS-120が本来持っている小ぶりならではのレスポンスの良さや豊かな鳴りもより感じられるようになり、「弾いていて気持ちが良い」と思える仕上がりになりました。


今だからこそ見直したいGrecoのオリジナルモデル

Grecoというとコピーモデルが注目されがちですが、このTRS-120のような1990年代のオリジナルモデルにも非常に魅力があります。

設計や木工精度、演奏性など、当時のGrecoの技術力の高さを感じられる一本でした。

リフレットによって演奏性も現代のプレイヤーに合わせてアップデートされ、これから先も長く活躍してくれるギターになったと思います。

市場ではあまり見かけないモデルですが、そこまで高価で取引されている個体でもない為、もし出会う機会があれば、ぜひ一度手に取っていただきたい一本です。

LuthiLab Memo

  • ブランド:Greco
  • モデル / 年代:TRS-120 / 1990年代
  • 修理依頼内容:リフレット
  • 主な作業内容:フレット交換、指板調整、レベリング、フレット成形・研磨、ネック調整、最終セットアップ
  • 今回のポイント:低いヴィンテージタイプのフレットから高さのあるフレットへ交換し、わずかなネックの波打ちも考慮しながら演奏性を大きく向上させました。

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